日本映像民俗学の会では、発足当初から、映像民族誌映画を観て「映像表現の多様性」を議論するワークショップを行ってきました。2025年度の最後は、西シベリアの永久凍土帯・森林ツンドラに暮らす北方先住民社会を記録した、ロシアおよびエストニアの長編ドキュメンタリー2作品を全編上映し、現代ロシアにおける先住民文化と民族誌映像のあり方を考えたいと思います。
上映作品は、ロシア連邦ハンティ・マンシ自治管区(ユグラ)で撮影された、アレクサンドル・アヴィロフ監督『ターニャ その夏と冬』(82分/2023年)と、総人口1000人未満の森林ネネツの詩人・トナカイ飼育民ユーラ・ヴェッラの晩年を追った、リーヴォ・ニグラス監督『愛の大地』(78分/2016年)です。
2022年以降、ロシアをめぐる国際情勢の変化により、シベリア先住民社会への現地調査は再び困難になりつつあります。そのような状況下で記録された映像資料の意義は大きいと思われます。ロシア人作家による内部的視点と、エストニア人映像人類学者による隣接的視点を対置することで、単一作品では捉えきれない文化表象の差異や細部を浮かび上がらせたいと思います。
≪上映作品≫
『ターニャ その夏と冬』(82分)2023年/ロシア/アレクサンドル・アヴィロフ
原題:Tanya. Summer. Winter.

西シベリア北部に住む少数民族ハンティ族であるターニャと、その家族の生活を描いたドキュメンタリー。タチアナ・セミニャコフ(ターニャ)は、読み書きを学ぶ前に、森の言語と狩猟の哲学を学んだ。彼女の先祖は、太古の昔からこの土地で釣りや狩猟をしながら暮らしてきたのだ。彼女は祖父母にすべてを教えられ、自分で捕まえたものを食べ、自分で縫ったものを着て、自分で作った家に住む。自給自足の生活なのだ。
『愛の大地』(78分)2016年/ロシア/リーヴォ・ニグラス
原題:Armastuse maa

西シベリアの人口1000人に満たない絶滅危惧民族、森林ネネツの詩人、トナカイ飼育民、ユラ・ヴェッラ(1948-2013)の繁殖期を迎えたトナカイを守る、知恵を絞ったロシア巨大石油企業ルクオイルとのたたかいを映像人類学の観点で見つめる。
〈スケジュール〉
【日時】 2026年3月28日(土)13:30~(13:00開場)
13:30~13:40 代表挨拶(北村皆雄)、企画趣旨(岡田一男)
13:40~15:15 上映『ターニャ その夏と冬』(82分)
解説:岡田一男(10分)
15:15~15:30 ≪休憩≫
15:30~17:00 上映『愛の大地』(78分)
解説:岡田一男(10分)
17:00~17:30 討論・質疑応答
}※18:00~ 懇親会
【資料代】 会員:無料、非会員:500円
【会場】 四谷スポーツスクエア 会議室R(47席)
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-6-4
アクセス: JR「四ツ谷」駅徒歩約2分
https://yotsuya-sports-square.jp/#access


