前回の研究会は、民族誌映画の黎明期に活躍し、長期にわたる事前調査と参与観察法を実践したロバート・フラハティ(Robert Flaherty)の2作品をとりあげました。今回は、1970年代からアメリカの映像人類学者が、フラハティをはじめとする先人たちの経験を批判的に検討して打出した方法論を考えてみようと企画しました。レオナルド・カマリング(Leonard Kamering)は、2020年にアラスカ大学フェアバンクス校を退職するまでアラスカ大学博物館先住民文化遺産映像センターをベースに作品活動を続けて来ました。彼が同僚のサラ・エルダー(SarahElder)と打出した方法論は
①被写体となる人物、コミュニティと徹底的に話し合って、記録に遺すべきと合意に達した事象のみを記録する。その時取り決めた事項・条件は、文書化しておく。
②事実をそのまま記録する。ステレオタイプ化した、やらせ、あてはめ、再現を排除する。
③インタビューにおいては、被写体となる人物が日常使っている言語で記録する。その言葉が英語でない場合は、英語の字幕を付ける。英語の方が楽な人に民族語を使う事も強制しない。
④ナレーションは使わず、インタビューの音声で構成して行く。
といった諸点で、被写体となる人々と映像の作り手との関係性が特に注目されるところです。カマリングは、日本に対する関心も非常に高く、数作品の日本語字幕版を制作しており、日本に長期滞在中に制作した作品もあります。実際に、岡田は次作『沖縄久高島のイラブー』制作に参考にしている手法があり、そうした点も報告したいと考えています。
【日時】 2023年9月2日(土)13:00~(12:30開場)
13:00~13:30代表挨拶(北村皆雄)、企画立案者解説(岡田一男)
13:30~14:10『捕鯨の時』1978年38分
14:10~14:20『冬の太鼓』抜粋6分
14:20~14:30≪休憩≫
14:30~16:00『国の心』1997年90分
16:00~16:10≪休憩≫
16:10~17:20ワークショップ(ビデオメッセージ含む)
※17:30~ 懇親会予定
【会場】
四谷スポーツスクエア 会議室R(47席)
〒160-0004 東京都新宿区四谷1-6-4
アクセス:JR「四ツ谷」駅 徒歩約2分
https://yotsuya-sports-square.jp/#access
【資料代】 会員:無料 非会員:500円
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